福祉の現場で求められること、それは確かな専門知識と適切な労働サービスにより、利用者の生活をサポートすることです。でも、求められているのは、お金に換算できるサービスだけではなく、人と接する職場では例外なく必要とされる、相手を受け止める対人支援サービスではないでしょうか。いわゆる、利用者の話をしっかりと聞いてあげる力です。

福祉、特に介護の仕事は、高齢や障害をもつ人たちが直面している現実を共有するわけです。彼らは身体が思い通りに動かない不自由さを強いられていることもあって、さまざまな悩みや問題を抱えています。心の内にある不安や不満、悲しみなどいろいろな言葉を誰かに発したいという気持ちを持っているでしょう。そんな時、親身になってサービスをしてくれる人たちに話をしたいと思うのは自然なことです。

介護を受けている私の祖母は、週2回ほど施設のデイサービスを利用しているのですが、そこから帰って来た祖母が「今日はいろんな話を聞いてもらってスッとした」というようなことを言ったのを覚えています。わが家は祖母と一緒に両親、私、そして弟が同居している5人家族で、祖母も話し相手には不自由しないと思っていたため、不思議に思いつつ、外で何を話してるのかとちょっと気になったものです。今思うと、祖母も家族には言いたくないことをいっぱい溜め込んでいたんでしょう。

ついこの間まで元気だった人が介護の必要な状況になった時、家族に弱いところを見せたくないからと、必要以上に気丈にふるまったりすることがあります。でも、他人には割と容易にそのバリアを解くことができるのかもしれません(もちろん、すべての人がそうではありませんが)。反対に、介護の提供者は、そういった利用者が抱えるあれこれを受け止めてあげることも大切なのです。それはいわば、無償のサービス。それがしんどいと思う人は、福祉現場での仕事に向いてないのではないかと思ったりしています。



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